趣味どきっ お寺の知恵拝借
8月に始まったこの番組、最後まで欠かすことなく拝見しましたが
とても愉しかったです
お寺さんのお話はどれも日常に参考になるもので、
掃除、坐禅、精進料理、滝行、庭園などなど
ゆたかな知恵満載でした
まず第一回目から頭をご~んとかち割られたこの禅語。
一掃除、二信心。
仏道を歩む方々にとって、もっとも大切なものって
信仰心だと思いますよね?
けれども禅では「掃除」を「信心」よりも上位においているのです
己の「やりたいこと」ではなく、「するべきこと」がまず第一。
これこそ、紳士、貴人だという気がします
精進料理の回は静岡の可睡齋の典座、小金山泰玄さんが担当されました。
典座というのはお寺の食事をつかさどる重要な役職で、
禅寺では食事が坐禅と同様、立派な修行とされています。
この小金山さんが語った言葉が、8月から私のこころにずっと
きらきら響きわたっています
「 料理の原点というのは、おいしかった、また食べたいな という気持ちを
持ってもらうことが一番じゃないかと思いますね。
修行僧を満足させてあげる。
作る時も、作らせていただく ということですよね。
仕事でもそうですよね。
仕事してやるんじゃないですよね、仕事させていただいてる。
生きてるのもそうじゃないですか?
生かさせてもらっている。」
させていただく・・・・・
こんなふうにつぶやきながら仕事するとき、
澄みきった心もちにかえることができます。
人って、ついつい当たり前の日常や小さなことをおろそかにしがちで、
ああ面倒だわ~とか、疲れたわ~とか
泣き言が口をついて出そうになる。
でも、「させていただくのだ」という気持ちで向かうと、
意味合いがまるで違いますね。
お料理させていただく
お掃除させていただく
靴を磨かせていただく
アイロンをかけさせていただく・・・・・
こんな言葉を頭に浮かべるとじんわりと至福感がわきあがってきます。
それは人間の根源というのが
他人の役に立ちたい、ということにあるからではないでしょうか。
私ごとですが、もうずいぶん昔、10年くらいまえに
当時かかっていた病院でいただいた飲み薬が合わなくて、
3日に一度はめまいで家事が出来ないという日が続いたことがありました。
立ち上がるどころか目も開けられないし、寝返りすらうてない・・・
という、まあなんとも情けない状況で
その時、働きたいときに働けるということがどれほど有り難いことだったのか、
身に沁みてわかりました。
人間にとって一番の幸せは、誰かのために働けることなのかもしれませんよ!
そんな経験もあって、今回の典座の方の「・・・させていただく」という心構えに
とても共感いたしました。
わたしが近年になって得た大きな収穫の一つに
掃除や料理は人任せにしてはいけないのだ、
という悟りがあります。
それまではお金持ちになったら腕のいいコックを雇いたいわ♪ なんて
考えたものです 笑
掃除や料理という仕事が持つ本当のふかい意味は、
理論や理屈を超えたところにあります。
じぶんの身体を使って毎日毎日続けてみて、
はじめて体感できるのです。
お寺の雲水さんが掃除や料理を厳かな「行」となさっているのも
むべなるかな・・・と思います。
目の前にある人や、もの、ことに、真心を注いでいく。
結局はそれ以上の幸せなんてないのだと思いますし、
そうやって生きていくうちに何より自分自身が磨かれ育っていく。
で、ふと歩んできた道すじをふりかえってみて、
自分だけのひみつの花園に色とりどりの花々や果実が
実っているのを次々にみつけることができたら・・・
どんなにステキなことでしょう