☆マリー・アントワネットの世界へ♪

 

六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリーへ

ヴェルサイユ宮殿監修 マリーアントワネット展

これまでアントワネットの展覧会は何度か出かけていますが

これほど充実した内容は後にも先にもないのでは?と思うほどの規模で

まさに決定版という感じでした。

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世界史を彩った女性の中でも、とりわけ華やかなアントワネット

可憐で優雅で哀れな彼女の運命は、多くの人の胸をうってきました。

彼女の物語にふれて、湧きあがってくる感情は人によって違うでしょう。

波乱の一生は私たちに多くのことを問いかけてきます。

どうすればよかったのか?

あなたならどう生きましたか・・・・・と。

でも禅問答と同じで確かな答えなどないと思います。

 

歴史というのは、制御できない生き物のように驀進していくもの。

ことしは予想外の出来事が世界的に多い1年でしたが、

フランス革命のころとなんら変わりない歴史の一面をみる思いです。

人として生きる上で、欠かせない学問の一つが「歴史」でしょう。

人間とはなにか?

自分とはなにか?

生きるとはどういうことなのか?

そして時代の流れを掴んでいく上でも、歴史を学ぶ意義は大きいと思います。

まして公の地位にある人ならばなおさらですが、

アントワネットというお姫さまはあいにくお勉強が大の苦手でした。

着飾ることや遊ぶことが大好き。

オーストリア皇女といっても、いちばん下の女の子として生まれた彼女は、

本来なら小国の妃としておさまる予定の子どもでした。

ですから母の女帝マリア・テレジアも、厳しい教育をしていません。

 

が、しかし。

歴史はときに、思いもよらない主役を選び出します。

彼女の姉が病死したことによって運命の歯車は大きく変わりました。

アントワネットのもとに、姉妹のなかでも最も大きな国フランスへ嫁ぐという

とんでもない玉突き人事がめぐってきてしまうのです!

内定から1年足らずという準備期間で、いたらぬまま異国へと旅立っていった

14歳の無邪気な少女を、母・テレジアはどんなにか心配だったことでしょう。

 

未熟な女の子は嫁ぎ先でもじつに自由奔放に我を通してしまいます。

「 嫌われる勇気をもちましょう 」

「 好きなことをして生きましょう 」

周囲の反発を押してでも信念をもって突き進むべき時というのは確かにありますが、

いま流行のこういった言葉がひとり歩きすることはとても危険なことではないでしょうか。

世の中には敵にまわしてはいけない存在というのがいる。

好きなことだけして命取りになることも多い。

大切なのは、その時その場での、大局的思考や判断力ですが、

それは非常に難解なことだと思います。

マニュアルなどなく、その都度、知恵を巡らし最善を見つけ出していくのが人生です。

 

人間って、一対一の因果関係じゃ到底つかめない複合要因の中に生きています。

その状況下で、自分の行動が何を意味するのか?を考えることが大事なのですが・・・

ここをアントワネットは間違えました。

お気に入りの取り巻きとだけ仲良くし、

耳の痛いことを言う年配者や伝統的な貴族を敵に回してしまいます。

あらん限りの贅を尽くし、ラクなことを求め、

窮屈なエチケットや行事を次々に廃止していく。

そのしきたりが実は自分たちを守ってくれていたことにも気づかずに・・・・

 

同時代の有名な思想家ルソーは『エミール』の中でこんな教育論を語っています。

自分が欲していることに抵抗できない者は恐ろしい罪に陥る。

その行動が自分や周囲を幸福にするのか?良心に従って考えなくてはいけないと。

欲望の奴隷になってしまってはおしまいです。

 

彼女がギロチンにかけられたのは庶民の怒りであることは間違いないけれど、

その庶民の感情に火をつけたのは

もともとはアントワネットが敵にまわした貴族たち。

身近にいた親類や貴族こそ、彼女の悪評を世間にばらまき、

国一番の嫌われ者に仕立て上げた発端です。

 

それにしてもアントワネットに対して歴史が配置した筋立て、

不幸へ不幸へと導いていく運命の抜け目のなさといったら、容赦ありません。

ああすればよかった、などという単純な要素でないことは当時の状況の

複雑さを知ればよくわかります。

 

どの時代も、歴史上の事件の真の主役や仕掛け人は名前も顔も現さないことがほとんど。

歴史通は人間通というけれど

へたな人生論などを読む暇があったら、歴史の復習からまず

始めるべきではないかと私は思うことがあるのですが

人類が歩んできた軌跡を土台にせず生きるなんて、大変もったいないと思います。

 

アントワネットは愚かな女の子でしたが、晩年は見違えるほど偉大な王妃となります。

なんだか信じられないほどの変貌ですが、

これまた私などには到底マネのできない立派さで、

さすがはヨーロッパ1の名家の皇女と感嘆せずにいられません。

革命時の残虐で卑劣な処遇の数々は、目を背けたくなるほどです。

しかし、出血が続いてふらふらの体調であっても、どんな辱めを受けても、

彼女はいつも毅然として背筋をのばし、表情を崩さず、頭脳明晰で、

死ぬまで知的であり続けました。

 

英国のバーネットの小説『小公女』で、主人公セーラが親をなくし

貧しく苦しい毎日を生きるなかで、

仏王妃マリー・アントワネットをお手本として気高い態度で生き抜く姿を

子どものころお読みになった方も多いと思います。

わたしは小さいころ、小公女のお話がふしぎなほどお気に入りで

どんな境遇でも心の気品を失わないセーラのようになりたいと思いましたが、

その原点は、このアントワネットだったわけです。

 

ところで、アントワネットといえば日本では「ベルばら」のイメージが強いですよね。

日本と彼女とのつながりは意外なところにもあって、

アントワネットは日本の漆器がお気に入りだったそうです。

今回の展示のなかでも絢爛豪華な宮殿の品々のなかで

ひときわ輝きを放っていたのが日本の漆器でした。

 

フランスのセーブル窯で焼かれた食器類もステキでしたが、

日本の漆器の品格は他を圧倒していました。

なんとどっしりとした存在感だろうと・・・・

そこに流れるのは、世界最古の王朝を背景にした揺るぎなくふかい根。

目には見えない精神世界の無限の広がり。

「蔦の細道」の歌枕を題材にした香合がありましたが、

伊勢物語の在原業平から生まれ、定家、琳派などによって発展したモチーフが、

遠くウィーンやヴェルサイユの宮廷で愛でられていたことは驚きです。

日本の誇り高いロイヤルの業平と、同じく卑屈さのない王妃アントワネットと・・・・

まあなんてステキなご縁ではありませんか

 

さてこの展覧会、終わってもまだまだ楽しいのがグッズコーナーです。

スイーツから文房具まで、可愛いすぎるラインナップに散財間違いなし!?

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ラデュレの展覧会場限定マカロンを購入してみました♪

花々のフレーバーが、頬張るとふわっと口中にひろがり、一瞬で貴婦人気分に

アントワネットはお風呂が好きだったり、みずみずしい花々の香りの香水を好んだり、

それまでのフランスにはなかった美をもたらした女性です。

そんなエスプリを感じられたスイーツ

この展覧会、平日でもとーっても混雑していますが会期は長く、来年2月まで開催しています。

哀しいけれども、優雅で強靭な王妃の一生を垣間見に、

よろしかったらどうぞお出かけください

 

 

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