☆芸術で自分を磨く♪☆

 

琳派という芸術の形ほど、日本を象徴したものもないように思えます。

それはただ美術・工芸の分野にとどまらず、

日本という国とはなにか?日本人とはなにか?

を考える上で、鍵となるものと私には思えるのです。

ことばでは上手に言い表せませんが、

琳派の継承の流れやその心根は日本の歴史そのもの

「日本文明」を象徴しているとさえ感じられます。

なかでも江戸琳派の旗手。

サントリーで開催され、どうしても見たかった其一

会期ぎりぎりすべりこみセーフで鑑賞してまいりました

 

鈴木其一 江戸琳派の旗手

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昨年誕生400年記念ということで、ちょっとしたブームの琳派。

なかでも其一は評価が急上昇しているそうですね。

今回もサントリー美術館では珍しく行列ができて、混雑していました。

 

これほどの力量をもちながら、あまり有名でなかったのが不思議なくらいの其一。

ゴッホが日本人の潔さがうらやましいと語りましたが、

その潔さこそ、其一の真骨頂

 

琳派がたびたび取上げてきた風神雷神。

わたしは宗達の屏風以上のものはないと思っていたのですが・・・

ある意味、潔さでは其一がピカ一かも?

ぐぐ~~~~~んと引いて大胆に余白を取り、

わたしたちをそのなかへ引き入れて取り込み、

雷雲の大空を妖しく漂わせる。

屏風ではなく襖絵であることで実現する世界ですね。

これは圧巻です!

 

メトロポリタンから里帰りした話題の朝顔図屏風は想像とはまったく違っていました。

ほんとうに、芸術は実物にあたらないとだめですね。

テレビで見るかぎりでは優雅な雰囲気もあって

光琳のかきつばたと似たような感じなのかな?と思っていました。

それを期待して出かけたのですが。

 

この朝顔、怖~~い

その前でずっと立っていたい、見ていたい・・・なんてぜんぜん思わない。

背筋がぞくっとして長居していられない。

一つ一つの朝顔の放っている息吹が

いま現在も永遠に息づいているっていうか。

 

これを描いた当時の其一がどんな心境だったのかわかりません。

ただ感じるのは朝顔が動物のようだと思ったこと。

そして、実際植物だって動物と同じなんじゃないかと感じること。

そう、今ここで生きてこちらを見つめているのでした。

其一の生きた幕末の異国船やら飢饉やらの動乱を考え合わせれば、

朝顔がなにかを象徴したものであるのかもしれません・・・

 

けれども基本的には情趣あふれる画風が多くて

ほんとうに心の栄養になりました

 

其一という人の絵は、一貫して凛とした気品があります。

その「凛」の源泉をたどれば止観にたどりつくのかしら。

そして彼の迷いのない「潔さ」の秘訣もここにあるのかな。

だって花がほんものの花よりも花らしく、

蝶がほんものの蝶より尊くほほえましい。

牡丹は神々しく

桜はたおやかに

紫の藤は高貴に

白藤は可憐に

なでしこは清楚に・・

雅楽の面をたった一つだけ描けば、それが物語や音楽を奏ではじめる。

琳派のスター・光琳が杜若だけで業平の世界を浮かびあがらせたように。

 

先人たち、物語、和歌、動植物、風土・・・それらととけあっていなくては

自分を薄めていなくては

こんな絵は描けるものではない。

だから野の小道を歩くように、館内を歩むうちに

大切なものを取り戻せるのです

 

展覧会は、このあと姫路市立美術館、細見美術館を巡る予定です。

お近くの方はぜひお出かけになってみてはいかがでしょうか。

で美術鑑賞のあとは今回も併設の美術館カフェで

まろやかに香ばしい加賀棒茶 TEA TIME

 

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アート鑑賞のあとここでのんびり芸術談義しながら

加賀の麩あんみつをいただくのが、わたしの定番コースなのです。

図録もテーブルに置かれているので

たのしいお喋りの花が咲きますよ

 

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