旧前田侯爵家別邸 鎌倉文学館へ
新緑と春バラが輝く季節です
この洋館は高低差のあるアプローチがロマンテック。
入ったとたん空気がさっと一変します。
青々と茂る木々の木陰をあるくと、
バルビゾン派の絵画のような景色が展開して・・・・・
5月のそよ風が森をさらさらと揺らせば、
いっそう深い草の香りが運ばれて
緑のヴェールをまとったような心地よさ
お邸の門扉も、おとぎの国の風景みたいです
庭園では、6月7日までバラまつりとなっています
ピークは過ぎているものの、
まだつぼみのお花たちがとびきりSWEETでした
青い海と広大なお邸、それを囲む新緑の山々。
そしてたえまない鳥の声
圧倒的な自然の癒しで、バラを楽しむのに絶好のロケーションですね
文学館では特別展スーパーストーリー源氏物語が開催中でした!
いまでは源氏=青表紙本となっていますが
鎌倉で編まれた河内本の文学史的意義がとても印象にのこりましたよ。
この時代、京都の朝廷では新古今集の編纂に公家のプライドをかけ、
鎌倉幕府では武家の名誉向上のため源氏学によって文化的覇者をめざしていたという・・・
文芸というのが政治権力において大事な要素だったことがわかります。
とくに戦国時代までの男性権力者にとって、源氏物語は教養の証だったとのこと。
このポスターのイラストをご覧ください。
紫式部がマカロンと珈琲をかたわらにPCに向かっているんです。
マカロン いいかも
源氏物語って、高級ブランドの典雅なお菓子が似合う
ジュエリーみたいな華と気品
中身もしっかり繊細で重厚で重層的な物語
わたしは京都の名店にみなぎっている緊張感が好きなんですけれど、
この物語もぴーんと張りつめた王朝最盛期の緊張感がとても美しいですよね
藤原時代の絶頂でなくては出てこないエネルギーだと考えると、
歴史というのは天皇、貴族、后たち、そのまわりの女房たち・・・と
まあ奇跡みたいに役者がそろっているものだわ!と驚いてしまう。
破綻が少ない小説として、現在も日本最高峰に位置しつづけているこの物語は
女磨きという点でも、いまどきの自分磨き本よりずっと奥深いように思えます。
女性の運命というか宿命みたいなものに限って見ていっても、
外側からはけっして見えない
言葉ではとうてい解明できない真理が潜んでいそうで・・・。
人によって好きなヒロインは違うと思いますが、私はもちろん紫の上が好き
朝顔、玉鬘、花散里、大君も好き。葵の上や六条もカワイイと思う!
女性たちを見ても、光源氏自身を見ても、「欠落」は人間の魅力の源泉ですね。
人間は「欠くあるべき」ということかな。
明石の中宮なんてつまらない大人になっちゃった~と感じる一方、
逆にコンプレックスが過ぎたヒロインというのは、これはまたこれで
明石の君とか空蝉とか味気ないように思えるし。
人生って難しい・・・
漢学の深い素養、当代きっての権門で磨いた審美眼をもつ紫式部。
そんな才女が秘めた謎解きなんて、わたしには一生かかってもできませんが、
読めば読むほど人間洞察の鋭さ、
怜悧な頭脳の世界にぐんぐん引きこまれていく。
GENJIって、ほーんとCOOLです♪