先日トーク番組で、高嶋ちさ子さんを拝見しました。
音大受験前バイオリン練習だけで1日10時間かけていた、
みんなそのくらいやっています、とおっしゃっていました。
頭と心だけでなく、筋力も酷使するバイオリンの練習を10時間とは、
アスリートのよう! なんとも清々しく、素敵なことだと思いました。
同じくバイオリニストの千住真理子さんの本がここにあります。
ヴァイオリニスト 20の哲学
〝「一生懸命」では生ぬるい〟という帯に背筋がのびる想いがします。
真理子さんの場合は、休日1日14時間練習したそうで
慶応の中高に通いながらの勉強との両立は大変なご苦労があったことでしょう。
1日4~5時間なら普通の一生懸命です。
「がむしゃら」とは言えません、と書かれています。
ヴァイオリンの練習だけでなく、学校の勉強(さまざまな学問や研究)も
スポーツ競技も、何かの技術を身につけるには、「がむしゃら」に没頭する一時期を、
ぜひ経験してほしいのです。
繰り返しますが、「一生懸命」では生ぬるいです。「がむしゃら」じゃないとダメです。
(以上抜粋)
いまは夏休み。
きっと多くの大学受験生ががむしゃらに机に向かっているのではないでしょうか?
わたしにもがむしゃらな時期がありました。高2から受験までの約2年間。
休日は11~12時間勉強したものだけれど、
ある時、欲張って13時間してみたところ精神的にも肉体的にもどっと疲れてしまい
12時間がわたしの限度だと悟ったのを今でも覚えています。
ですから体力を使う楽器練習だけで10時間こなす音大受験生たち、
さらには14時間も練習した真理子さんなどは超人技だと恐れ入ってしまいます。
今どきの高校生が1日平均7時間スマホをしているとのニュースがあったけれど、
あれはあまりにも不幸なことだと思う。
高校生の1日は30代、40代の1日なんかとは比較にならない、まさに黄金。
それが1年先2年先の自分自身をつくり、人脈や環境をつくり、
一生を決定付ける出合いや場所へとつながっていく。
圧力と時間をかけてじっくりと器をつくったかどうかは人間力につながります。
それは語らなくとも、その人の容貌や言葉に如実に表れるように思います。
人生はいつからでもやり直せる、というのは間違いではないけれど
子どもに教えて良い言葉なのかどうか・・・
時間だけは大金を払ったところで、決してとり戻せない。
若いころの過ごし方は幸せの土台で、
家づくりにたとえれば基礎工事。
それが危うい家などもろいはずです。
この本は、芸術一般を志す人はもちろん、学問や仕事など何かにとりくむ人、
日常生活においても大変参考になりそうです。
目標の定め方から、集中力の研ぎ澄まし方、頭の切り替え方、先生との
付き合い方をはじめ、手塚治虫さんとの出会いや、ボランティア経験など
胸があつくなるエピソードもいっぱい。
結局、人生には王道などないということを一流の方はおしえてくれます。