神奈川近代文学館の遠藤周作展へ行ってきました
遠藤作品は教科書で親しみ、学生のころ好きでよく読んでいた本でもあります。
今になって、遠藤周作という人を世界が見直し、注目しているようです。
9.11のテロをきっかけにして、宗教についてわれわれ一般人までが、
ようやく真剣に考え始めた現代。
「一神教とは・・・?」
「宗教の共生はできないものか・・・?」
思えば、遠藤さんはずっと昔からこうしたことを問い続けてきた文学者だったのでした。
八百万の神々がいる汎神教的風土に生きてきた日本人にとって、
一神教のキリスト教が魂の故郷となりうるのか?
この問題を追求しつづけた軌跡は
これといった宗教をもたない私にとっても大変興味深かったです。
と同時に、今までいかに上っ面しか読んでいなかったのかと反省しました。
もう何年も、遠藤作品から遠ざかっていたのですが、もう一度読み返してみたいと思います。
遠藤周作の本といえば、『沈黙』や『深い河』といった純文学、
『私が・棄てた・女』などのエンターテインメント性のある作品、
そして、あの愉快な、ぐうたら・狐狸庵シリーズと、どれも魅力的で好きでしたね。
学生時代、母校に講演会に来られたことがあって
そのときのにじみ出る温かい雰囲気と
存在自体が面白い!?という天性の笑いの才、
人生への豊かなアドバイスの数々・・・・・。
いまでも心に深く残っています。
見ごたえのある展覧会で、予想以上に時間がかかりましたが
とても満足できる内容です。
遠藤周作の本がお好きな方ならぜひ行かれることをお勧めいたします