美術館・・・
そこは物語世界へ旅する場所
今回も絵画世界へ すっぽりと入りこむ旅に
三菱一号館美術館 オルセーのナビ派展
はじめ またオルセーなの?と思いましたが
今回は印象派ではなくナビ派です。
ナビ派を日本で本格的に紹介する最初の展覧会なんですって。
昔からゴーギャンの絵をぐーっと近づいて観ると
ココロがすーっと 清涼な感じになって。
何故なのかよくわからないのだけれど。
今回ナビ派にヒントをもらった気がします。
「フラットな色の面」
「目に見えないものを描く内面性」
こう書いてみると、その特徴たるや日本美術そのものでしょうか?
しかし彼らはそれらをきちんと咀嚼し
自分達の風土や思想の中に 美しく浮かびあがらせているのです
西洋絵画の歴史というのは驚くほど決まりごとが多く、
また自然を描いても 呼吸が止まっているかのように
見えるものも少なくありません。
中学のころ理科で習ったのを覚えていますか?
植物は細胞壁があるから動けない みたいなこと。
わたしね、そのとき、もし自分の身体に細胞壁があったら
怖すぎるーって ゾッとしたんですよ
で 今でも 西洋の絵とかお庭なんかを見ると、
その「細胞壁」ってものをよく連想しちゃうんです。
なんて自由がきかないんだろうって・・・
西洋は自由や平等をわざわざ明文化して目指すくらい好きですが、
実際はたいそう不自由な思考にしばられています。
絵画では、その枠組みが徐々に解き放たれてきた19世紀末、
ナビ派の絵は、画家とそれぞれの鑑賞者との間に
神秘やロマンを生みだす繊細さにあふれていました。
ドニやボナールのささやきといったら 素敵です
以前この美術館で企画展があった、ヴァロットンもよかったです。
ふたたび再会した印象は、数年前よりも深かった。
この人のもつ不穏さとか可笑しみって、妙に目が離せない。
ヴュイヤールの「ベッドにて」も好きでした
修道院のお菓子や雑貨にときめく私には
このカワイイ聖性 惹かれます♪
ヴュイヤールの敬虔な信仰が 宗教を超え
ほっこり沁みこむ幸福な作品ですね。
そんな日常のなかにある
神秘性だったり 愛らしさだったり
可笑しさだったり 不穏さだったり
ナビ派のひとびとが、遠い世界をモチーフにするのではなく、
身近なことに特別をしのばせたその視点と
いま私たちがブログなどSNSで切りとる世界とは
ちょっと似ています。
もともと 日常を美々しく切りとって芸術にまで昇華させたのは
平安時代の日本女性が世界に先駆けてしたこと。
西洋の画家はその視点をたとえば浮世絵から学んだかもしれない。
でもあの時代の日本の風俗とは、着るものも、生活スタイルも
まったく違っていますから
逆にナビ派の世界に親しみをおぼえてしまうのかも。
近年、国際的に評価が高まっているというナビ派芸術を
三菱一号館というクラシカルな建物の中で鑑賞できたのは
優雅にオシャレなことでした。
今回もこの美術館のセンスに感謝いたします