上野の東京藝術大学。その芸大美術館の
「香り かぐわしき名宝展」へ![]()

「香り」をテーマにした国内の美術品を集めた展覧会です。
日本特有の香り文化![]()
その歴史から、香道具のあれこれ、香るような絵画作品
そして実際に香木を嗅いでみることまでできる・・・
五感で楽しむ大変凝った企画展でした。
序「香りの源」
Ⅰ「香りの日本文化」
Ⅱ「香道と香りの道具」
Ⅲ「絵画の香り」
そもそも香木とはどういうものなのか?から始まり
仏教とともに日本へ入って以来、
貴族、武家、庶民へと広がっていった香りの歴史が展示品とともに学べるようになっています。
衣類に香を薫きしめるお道具の伏籠など、実物は初めて拝見しました。
王朝文学にも「香をたきしめる」場面というのはよく出てきますが、雅びでステキですよね![]()
華道や茶道にくらべて、香道というのは歴史や流派がそれほど知られていません。
私も今回はじめていろいろなことを知りました。
室町時代、足利義政の東山山荘に文化人が集まり東山サロンを形成していましたが、
この頃、三條西実隆と志野宗信の出現によって、
基本的には今日までつながる香道が確立されたんだそうです。
香席を再現した和室のお部屋なども面白かったです。
美術館を鑑賞し歩いていると結構疲れるので、
畳の香りを嗅ぐと妙にリラックスできるんですよね。

最後の「絵画の香り」の展示は、日本ならではの感性が光る名作ぞろいでした![]()
速水御舟の『夜梅』がすごいです。
展示ガラスのむこうから本当に梅の香が漂っているのではないの?!と思ってしまうほど。
中国の楚蓮香という伝説の美女を描いた上村松園さんの『楚蓮香之図』もステキ![]()
蝶が飛び従うほど芳香を放つ美女なんだそうですが、清楚な香気にうっとりします。
「聞香」といいますが、香りを「聞く」なんですよね。
ただ「かぐ」のではなく、聞香とは心を傾けて香りを聞くこと。
なんて繊細で美しい言葉でしょう![]()
そんなかぐわしくも麗しいお香文化にふれた、充実のひと時でした![]()
匂い立つ美女といいますが、そんな美しい人に少しは近づけたかしら・・・?