☆愛される秘密*・゜゚・*:.。..。.:*・☆

 

ヨーロッパで500年にわたって愛されつづける

“永遠の恋人” が いま上野の森に舞い降りています。

東京都美術館 ティツィアーノとヴェネツィア派展

ティツィアーノ《フローラ》

 

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女の子が女の子らしくなくなったといわれる現代

男女平等を追いかけてすぎてなくしてしまったことって

例えばどんなこと・・・?

 

つややかにカールした長い髪

内側から光るふくよかな肌 ばら色に染まる頬

純白の衣装にはらりと纏ったピンクの織物

握りしめているのは

スミレ、薔薇、ジャスミンの花

指の間からこぼれおちそうな葉

やわらかく光る清楚な指輪 その位置も可憐で・・・

 

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さらには 視線

なにを見ているのかわからない瞳のゆらぎ

すこやかな色気に匂い立つ品のよさ・・・

 

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言いさして黙りこむとか

ちょっとうつむき加減とか

そんなゆかしさって

本当はものすごい魅力なのに

いつのまにかグローバルのキッパリした世界に

日本の女性美も気おされてしまった気がします。

 

 

それにしてもテイツィアーノって何者なんでしょう?

古今東西 歴史の舞台には、時にいきなり巨人が登場してしまうもの。

この時代のヴェネツィア派からぬきんでた技量は

おもわず笑ってしまうほどです。

ティントレットやヴェロネーゼにも素敵な絵はありましたが・・・

 

 

この世で死ぬまで幸運でありつづけた芸術家がいったいどれほどいるでしょう?

巨匠といわれるひとでも不遇の晩年をむかえたひとは数多い。

けれどもティツィアーノはこの世を謳歌しつづけ

しかも長生きした したたかで強運のひと。

名声・富 = 成功

と定義するかいなかは、ちょっとおいておいて。

 

今の時代、なにかと成功者がお好きなようで

あちこちで成功論がにぎわっていますが

人生における本ものの成功は「そこ」ではない何かなのは

本当は誰もが知っているはず。

テイツィアーノはその「何か」をつかんでいたのかも、

と思わせるのがこの肖像画でしょうか。

 

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教皇パウルス3世。

この瞳のまえに立つとすべてを見透かされるようではありませんか。

教皇の圧倒的知性と手腕が表れ切っている。

本物を前にするとずっと真向かいで立っていられない鬼気めいたものもあって

ルネサンスの人物がこの絵のなかに今も息づいているのが感じられる。

 

そう。

館内にある他の絵は「絵」なのだけれど

テイツィアーノの絵は、生きて、息をしている

絵であって絵ではない、絵を超えている・・・

 

教皇という地位の人にどれほど付き合って描いたのか?

予想はつかないけれど ものすごい審美眼が感じられ

技術にくわえて洞察力、いわば生きるセンスというものが

並外れた画家であったことが伺えます。

ティツィアーノは物事の本質をポンとつかめる人だったのでしょうか。

 

 

生きていくことは判断と選択をくりかえしていくこと。

だからひとを見る眼がないのは命取りであり

あまりに空気をよめない、というのもやっかい。

選択する際に直感を頼れ!というのは本当は究極の鍛錬の先の先のことでありましょう。

 

この名画にこたえがみえます。

ルノワールもクリムトもルーベンスもベラスケスも

憧れたという西洋絵画界のカリスマは

同時代の人々からもきっと愛されていて

そして彼自身も、世界を、人間を、存分に愛していたに違いない。

肖像画というジャンルは、画家のみていた世界の

いわば真言だと今回つよく思いました。

この点はラファエロの描く肖像画にも感じることでしたが。

ルネサンスのイタリアって なんて恵みにみちた花々しさでしょうか

 

さて・・・・・

ティツィアーノがキャンバスにとどめたフローラの魔法は

わたしの細胞が吸いこんで いまも確かに続いているようで

あの日以来花々のエッセンスのような

甘やかさがずーっと 咲き続けている感じです

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